ワイのリハメモ

ワイ(理学療法士)が日々勉強した事をメモるリハビリブログ。 文献抄読、読書感想文が主体。最近は興味深いと思ったことをメモってます。

カテゴリ:中枢 > 脳機能

高齢化が進み、認知症を患った方が非常に多くなっている昨今。認知症老人の事故なども頻繁にニュースで取り上げられている。

そんな認知症、様々な種類があり中でもアルツハイマー型認知症の名前は医療関係者以外にも聞いたことがある人は多いのではないだろうか。

そんなアルツハイマー型認知症が、至って簡単な方法で早期発見できるかもしれないのだ。

というのが今回の記事です。


【ピーナッツバターテスト】
被験者の鼻にピーナッツバターを少しずつ近づけていく。匂いを感知した時の、鼻とピーナッツバターの距離を記録する。


なんとこのテスト、
アルツハイマーの方がやると、『左の』鼻のみ匂いを感知しづらいという結果が出たのだ。

認知症は、その型にもよるが脳の広範な萎縮により、様々な認知症状を呈する。
その中でも第一の脳神経である嗅神経(匂いを司る神経)は早期に障害される。

なので、認知症の人は、早期にピーナッツバターの匂いが感じとりにくくなる。

なぜ左か。それは不明だが、左鼻の嗅覚低下というのがアルツハイマー型認知症に特有の症状であり、左右の嗅覚に差がない人はアルツハイマー以外の認知症である場合が多いというのだ。

みなさんも、最近物忘れがひどいなぁ。と思ったらピーナッツバターの匂いを嗅いでみてはいかがだろうか。
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なんか患者さんの脳画像みて、病巣と症状が一致しないなんてことよくありませんか?
もしかしたらダイアスキシス(Diaschisis)という現象かもしれません。

ダイアスキシス(Diaschisis)とは

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機能乖離
あるいは遠隔性機能障害と言われる現象。
脳血管障害に際し、

損傷部位と線維連絡している遠隔部位にも血流低下を認め、その部位の機能障害が生じる可逆性の機能抑制現象。


・脳梗塞周囲の大脳皮質
・対側半球の大脳皮質
・対側小脳
・尾状核の梗塞により、前頭葉の一部にも血流低下を認め前頭葉の機能低下が起こることがある。

論文紹介

失語症の出現にdiaschisisが関与したと思われる脳血管障害例の検討

失語症を呈した左大脳深部領域の脳血管障害患者5名の
局所脳血流量をSPECTから評価し、
急性期(発症1週間以内)と慢性期(発症2ヶ月以降)を比較。

症例1

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梗塞巣:左内包後脚~視床
症状:右不全麻痺、Broca失語

急性期所見
左大脳基底核、視床だけでなく、左前頭葉皮質にも血流低下を認めた
慢性期所見
リハビリにより失語症状は徐々に改善。
上記areaの血流は改善傾向を示した。


症例2
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出血巣:左視床
症状:右不全麻痺、全失語

急性期所見
左視床だけでなく、左前頭葉、側頭葉皮質にも血流低下を認めた
慢性期所見
リハビリにより、自発話は出現しなかったものの、理解は改善傾向を認めた。
上記areaの血流は改善傾向を示した。

まとめ

大脳深部領域の障害における失語症の出現は、diaschisisの関与が考えられる。
しかし、脳浮腫や血腫といったその他の要因も関与している可能性があり、
その出現機序は複雑である。

一般的に損傷された脳細胞は再生しないと言われるが、懸命なリハビリにより遠隔的に低下してしまった機能は取り戻せる可能性があると考えられる。






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