ワイのリハメモ

ワイ(理学療法士)が日々勉強した事をメモるリハビリブログ。 文献抄読、読書感想文が主体。最近は興味深いと思ったことをメモってます。

カテゴリ: 治療・訓練

腸脛靭帯炎🔥

腸脛靭帯の過用により、停止部である膝に痛みを生ずる。
ランナーに多く見られることから、ランナーズニーと言われることも。
膝の度重なる屈伸が、外側上果との摩擦を生むのだ。

鑑別法として、スクワットテストというものがある。
toe in/toe out/normalにて三種のスクワットをさせ痛みの変化を見る。

腸脛靭帯は下腿内旋で伸長し、外旋で弛緩する。

toe inでは下腿は内旋するため、スクワット時の痛みが軽減、
toe outでは下腿は 外旋するため、痛みが増強する

治療法としては、アイシングや、ストレッチなどが挙げられる。もちろん原因としての腸脛靭帯の過用、ないしはランニングの中止、動作指導なども上がってくるか。

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高気圧酸素療法(HBO)は、酸素カプセルに入ることで、体内の酸素濃度上昇や、圧からの解放を図り疾患治療を行うものである。
イレウスや血管疾患に用いられる療法である。

HBOは特発性難聴の治療に用いられることもある。
機序として、耳は代謝が良く多量の酸素を必要とするにも関わらず、栄養血管に乏しい性質がある。
特発性難聴に対しHBOを施行することで、酸素分圧を高め治癒を図るものである。

しかし、HBOの副作用として、難聴がある。
厳密には、滲出性中耳炎といい、気圧に耐えられず中耳ないに浸出液が溢れ出し炎症、ひいては難聴にいたる。
元々耳に何らかのダメージがある人に起こりやすい。
これは耳鼻科で浸出液を排出すれば良くなる。
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HBO実施中の患者には、耳の痛みや聞こえにくさが出ていないか確認する必要があるかもしれない。


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この人は何をしている?と聞くと
"ボールの上でバランスをとっている" と答える人は多いだろう。

では、立っている患者さんが、グラグラと揺れていたらどうか。
第一印象として、バランスが悪い?と印象を受ける人は多いと思われる。

臨床上、バランス低下という言葉を安易に使ってしまう事が多いと思われる。
『そもそもバランス能力って何なのか。』
と聞かれると明確に答えられないし、
『どうしてバランスが悪いのか。』と聞かれると、原因をはっきり出来ていない事が多い。

この患者さんのグラグラは本当にバランスが悪いと言っていいのだろうか。

答えられる自信が全くない・・・!!
なので、改めて勉強し直します。



●そもそもバランスって何?

みんな大好きwikipediaでは...
『バランス(英: balance) 釣り合い、均衡の意』

その通り。ごもっともである。


●理学療法分野でのバランスって?

Shumway-Cook Aは著書の中で、
姿勢制御を安定性定位に分けて考えている。

安定性はバランス・平衡と同義と述べており、
身体重心の位置を、支持基底面内に保持する能力の事である。

定位は、動作に関与する複数の体節間同士の関係、身体と環境との関係を適切に保持する能力である。

例として、
立位姿勢は、重心を基底面に維持しているため、身体は鉛直方向に保持される。
しか、不安定な状況では、頭部や体幹などを傾斜させるなどして、基底面内に重心を収めるため、
鉛直肢位である定位をとれなくなる。

この様に、姿勢制御は安定性と定位が動作課題・環境に応じて変化させている。


また、内田らは
「バランス」「平衡機能」という言葉について以下の様に分類している。
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つまり、
平衡機能は、静的姿勢保持や外乱応答など姿勢を維持するために必要な神経機構を示し
バランスは、それに加え骨アライメント、関節機能、筋力などの要素が含まれた動作遂行性を示す
としている。

したがって、歩行動作が遂行出来ない、立ち上がり動作が遂行できない、
というのは広く見るとバランス障害と言えうる。


●バランスが悪いってなんなの?

バランスの定義と考え方は前項の通り。
では、"バランスが悪い"って一体なんなのか。
単にグラグラ揺れていること?

"バランスが悪い"にも色々種類がある。

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定義の身体重心と支持基底面の位置関係、安定性限界からみると
上記の様にバランスが悪い状態にも、違いがある事が伺える。
例えば、小脳失調では(b)タイプ、
パーキンソン病では(c)タイプ、
片麻痺など身体重心に偏りがあれば(d)タイプとなるだろうか。
(実際はこれらの要素が混ざりあっているので、言い切れない。)

そうなると、
(b)タイプの人に対して、正中位を意識させつづけるアプローチは有意義なのか。
といった自分の行っている訓練の確認にも繋がる。


●バランスを構成する要素

バランス障害だから、不安定板の上でグラグラさせれば改善するのか。
そうとは言えない。
下図の様に、バランスを構成する要素は多岐に渡る。
それらを一つ一つ評価し、問題がある点にアプローチする必要がある。

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①筋骨格系
関節可動域制限、筋力低下、アライメント、、、
これは評価しやすく、すぐに思いつく項目だろうか。
あとは麻痺の影響で思い通りに身体を動かせない、など

②感覚
視覚からの情報、前庭系からの情報、体性感覚からの情報、、、

実際のところ、感覚フィードバックが入らないと
いくら筋力が保たれていても、脳から思い通りの命令が出来ないので、
感覚情報は非常に重要である。

人間の体は悪いところを、そうでないところで補える。
例えば、深部感覚障害がある場合、視覚・前庭系により定位を代償できる。
そのため一見バランスがとれている様に見えるかもしれない。
その場合、目をつぶる(いわゆるRomberg test)などにより、的を絞っていく必要がある。

③中枢での統合処理
ストラテジー(戦略)は、目的達成のための中枢神経系のプランやプログラミングである。
この戦略はフィードフォワードフィードバックの両方の制御で行われている。

姿勢戦略には、、ヒップストラテジー、アンクルストラテジー、ステッピングの3通りがある。

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・ヒップストラテジー
不安定な足場で発揮される。
前方不安定では、腹筋群→大腿四頭筋と近位筋→遠位筋と筋活動する。
後方不安定では、脊柱起立筋→ハムストリングスとこちらも近位筋→遠位筋と筋活動する。

・アンクルストラテジー
安定した足場で発揮される。
前方不安定では、腓腹筋→ハムストリングス→脊柱起立筋と、遠位筋→近位筋と筋活動する。
後方不安定では、前脛骨筋→大腿四頭筋→腹筋群と、こちらも遠位→近位と活動。

・ステッピング
安定性限界から逸脱した際に、一歩踏み出し新たな基底面を作る


足部の機能低下がある場合には、足関節トルクを発揮出来ないため、安定した足場でもヒップストラテジーが選択されやすい。
そのため、高齢者ではヒップストラテジー優位なことが多い。

また、感覚情報の違いでもストラテジーは変化する。
アンクルストラテジーは体性感覚が正常な際に効果的に利用される。
ヒップストラテジーは前庭機能を主としている場合に効果的に利用される。

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このように、筋骨格系の状態と、感覚情報が中枢神経で統合され、
環境に適応するための戦略をとり姿勢を保持している。

④呼吸循環機能
活動する神経、筋肉に十分な酸素が供給されなければ、機能は発揮されない。


治療についてはまた後日調べます。
でも、バランスを構成する要因と、それを突き止められれば自然とやるべき治療は決まってくるはず。



参考文献
1)望月ら:理学療法学 第40巻第4号 P322~325(2013)
2)西守ら:関西理学 特集2バランス,P41-47(2003)

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